中耳炎とは

中耳炎のイメージ写真

中耳炎は、鼓膜の内側に炎症をきたす代表的な病気です。この部位は耳管を介して鼻腔と繋がっているため、風邪をひいたりすると、鼻水などに含まれる細菌が中耳に侵入して増殖し、中耳炎となることがよくあります。中耳に溜まった膿が鼓膜を圧迫するので、耳が痛くなったり、周囲の声が聞こえにくくなったりします。

主な症状

  • 耳の奥がズキズキする
  • 激しい耳の痛みがある
  • 発熱が続いている
  • 頭がズキズキする
  • 耳だれが見られた
  • 耳がつまった感じがする
  • 何となく機嫌が悪くなってぐずっている
  • しきりと耳に手をやったりする など

急性中耳炎

急性中耳炎は、お子様を始めとして、とても頻繁に見られます。風邪を引いたときなど、鼻や喉から耳の中に細菌が入り込んでしまい、急性中耳炎を併発することがよくあります。特に、お子様は耳と鼻をつなぐ耳管が水平に近く短いため、頻繁に見られます。炎症が悪化して膿が溜まると、耳の痛みや閉塞感、発熱、耳垂れなどの症状が現われ、乳幼児の場合はひどく不機嫌になったりします。

こうした症状を改善するには、主に内服薬を使用します。通常は4~10日ほどで元気になります。

なお、急性中耳炎の治療をきちんと受けなかったり、何度も頻発してしまうと、炎症によって鼓膜の穴が閉じなくなってしまい、慢性化することもあります。その他、中耳に弱い炎症が起こり続けて滲出液が溜まってしまう滲出性中耳炎などもあります。

滲出性中耳炎

中耳に弱い炎症が続いて染み出した液体が溜まる病気です。痛みなどの自覚症状があまりないため、受診せずに放置してしまう事があります。しかし、早い段階で治療を行ないと、難聴の原因となります。お子様の耳が聞こえにくいのではないかと感じられたときは、耳鼻咽喉科を受診して検査を受けておくことが望まれます。

慢性中耳炎

急性中耳炎の治療が不完全で治癒していなかった場合など、鼓膜に穴が開いたままになって慢性的な炎症が続いてしまう病気です。鼓膜は再生力がありますので、通常は穴が閉じていくのですが、炎症が収まらない状態が続くことにより、再生が追い付かなくなるのです。

耳の痛みや発熱はあまり見られませんが、鼓膜に穴が開いているので、外部の声や音がきちんと聞き取れず、難聴となってしまうことがよく見られます。また、外から菌が入り込んでしまい、耳垂れを繰り返すこともあります。鼓膜や皮膚の一部が奥の方へと入り込むと、真珠腫という塊が出来て耳小骨を壊してしまうこともあります。

具体的な治療法は、軽度ならば中耳の粘膜の腫れや膿を取り除くため、抗菌薬を点耳したり、消炎剤を使用したりします。鼓膜の穴が大きいケースなどでは、手術を選択することもあります。中耳の病変組織を取り除き、中耳炎によって破壊された耳小骨を修復することによって、耳の機能回復を目指すのです。